社協職員レポート 〜県内市町村社協比較分析2020〜

 今回のレポートは、毎年茨城県社協が中心となって取りまとめている「茨城県内社会福祉協議会事業概要及び職員設置状況調査データブック2019版」から、それぞれの市町村の人口規模・実施事業・職員数・財源構成等を一覧化し、そこからみえてきた神栖市社協の特徴等を第2回理事会で報告させて頂きましたので、本ホームページでも紹介させて頂きます。(※神栖市以外の市町村名は明記しません)
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 市町村社会福祉協議会の取組みとそれに伴う事務局組織の規模及び経費等は、それぞれの市町村人口規模や福祉に関する住民意識、社会資源の充足状況、行政福祉施策との役割分担など、様々な事情によって大きな違いがあるため、単純な数値の比較だけでは、その妥当性や有効性を明らかにすることは困難といえます。

 しかしながら「地域住民や様々な福祉事業者、活動者、行政等と相互に協力し地域福祉を向上させていく(社会福祉法第4条)」といった同一の使命とその役割の発揮を、それぞれの自治体及び住民の理解と協力のもとに進めていく組織体であることは全ての市町村社協に共通しています。

 したがって、取り組む事業の種類や規模の違いはあっても、住民会員会費制や寄付を主軸とした自主財源の確保を基に、行政や民間では取り組むことが困難な事業を進めていくことを主条件とした公費助成や、行政制度を担う受託事業、更には介護保険制度や障害者総合支援事業の中で民間事業所と肩を並べる契約型福祉サービスを直接提供していくことで事業収入を得るという財源構成の在りようを比較し、その検証結果を1つのガイドラインに神栖市社協の現在位置を把握することは、今後の本会活動の方向性を見定める重要な確認作業の1つであると言えます。

※資料「茨城県内市町村社会福祉協議会データブック2019版(令和元年12月発行)」茨城県社協及び各市町村行政ホームページ並びに茨城県ホームページ。

【正規職員数と資格取得状況】
 県内44市町村社協の正規職員数は1,087人で1社協の平均配置人数は約25人です。 最も多くの正規職員を確保している社協は100人強(2番目は80人強)、最も少ない社協は5人以下(4カ所)です。本会の正規職員数は19人で平均より少ない状況です。(県内正規職員1,087人、非正規職員2,062人、総数3,149人)

 また、市町村人口を正規職員数で割る職員1人あたりの対応住民数は、最も少ない社協で1人の職員が住民約400人を担当しているのに対し、最も多い社協では1人の職員が17,500人以上の住民を担当する数値となり大きな開きがあります。
県内における社協正規職員1人あたりの対応住民数の平均は約3,200人です。本会は正規職員1人あたりの対応住民数5,026人で、平均より多い住民数に対応する体制となっています。

 国家資格である社会福祉士を取得している正規職員は県内で320人、1社協あたりの平均人数は7.27人です。本会は単純人数比較で上位から4番目の17人となります。
 正規職員に占める社会福祉士資格取得者の割合で比較すると、本会は19人中17人の取得(89.4%)で県内最高位です。

 精神保健福祉士は、県内に86人、1社協あたりの平均人数は1.95人です。本会は県内で最も多い13人を確保しています。正規職員に占める精神保健福祉士資格取得者の割合では、神栖社協が19人中13人の取得(68.4%)で社会福祉士とともに県内最高位にあります。

【社協の財源】
 社協の年間総予算に占める行政支出額(行政助成金+行政委託金+県委託金)を比較すると、最も多い社協は年間総予算額の88%を行政が支出しています。一方、最も少ない社協では行政支出が8.60%と約10倍の開きがあります。平均値は社協総予算額に占める48.49%で、本会は平均割合より若干多い53.75%(最も多い社協を第1位とする多い方から数えて27番目)となっています。
 行政からみた社協へ支出している助成金と委託金の合計実際額を比較すると、最も大きい社協が13億74,000万円以上であるのに対し、最も小さい社協は743万円と大きな開きがあります。県内44市町村の社協への支出額(行政助成金+行政委託金+県委託金)の平均は約2億600万円で、本会は平均額よりも約8,000万円低い1億2400万円です。

 また、行政から社協に支出されている助成金と委託金の合計額が、それぞれの行政一般会計予算(平成31年度当初予算・暫定予算自治体も含む)の何%にあたるのかを示す、いわゆる行政コストを比較すると、最も高い自治体は行政一般会計予算額の2.49%を社協に支出し、最も低い自治体は行政一般会計予算額の0.09%の支出といった状況です。県内市町村の平均支出額は一般会計予算の0.85%で、神栖市は平均値の3分の1以下となる0.28%を神栖市から神栖市社協に支出しています。(最も低い自治体を第1位とする行政コストの低い順から神栖市は第3位)

 社協の年間総予算額を人口数で割る住民一人あたりの支持負担額(住民コスト)では、最も低い社協が住民1人あたり約1,500円であるのに対し、最も高い社協は住民1人あたり約39,500円となっています。本会は、県内平均額8,775円の3分の1以下となる住民1人あたり2,422円のコストで今日の活動・事業を維持、継続させて頂いております。(最も低い社協を第1位とする住民コストの低い順から神栖市社協は第5位)

【まとめ】
  市町村社会福祉協議会の活動は、目的・目標は共通でも自治体ごとに存在する様々な事情や、目的達成に向けた手法よって大きな違いをみせます。人口規模はもちろんのこと都市部か農村部かによっても違いがあります。
  事業内容によって職員配置も正規職員だけでなく嘱託職員や非常勤職員の配置があるため、年間予算額は福祉サービス直接提供中心型・行政事業受託中心型・指定管理者事業型・総合相談コーディネイト中心型・総合事業型等によって大きな違いをみせます。
 したがって平均値が市町村社協のスタンダードモデルということでもありません。単純な数値の比較、平均値との比較だけでは、その存在意義を語ることはできないものです。

  明らかなことは市町村社協は決して少なくはない活動資金を、様々な形で捻出して頂いているという事実です。このことから、社協には「社会のどういった問題の解決に向けて、どんな取り組みを進めているのか」を明確化して公表し、住民の皆さんをはじめ福祉事業者やボランティア活動者、行政等から理解を得なければ、その使命を果たしているとは言えないということです。そして更に応援して頂けるよう、よりコストパフォーマンスに優れた取り組みへと変化を重ねていかなければならないということを、今回改めて確認することができました。

【神栖市社協の特徴】
 神栖市社協は法人認可から34年間、神栖に暮らす住民の福祉ニーズとその課題を解決する社会資源の充足度合いを検証しつつ、社協として展開すべき活動内容や範囲を日々変化させて実践してきました。

 その中でも一貫してきたことは、社会福祉協議会として取り組むべき内容を他の機関では取り組むことが困難な領域の福祉課題への関わり(専門的知識と対人援助技術と国家資格を必要とする)としてきたことです。

 今日の具体的取り組みは、精神障害者や発達障害児者を対象とした社会参加支援、引きこもりの家族を抱える家族支援、認知症高齢者や精神障害者・知的障害者の市民的権利と財産を最終場面まで支える法人後見を含めた総合的な権利擁護活動等です。
これらはいずれも対象者も支援提供者も少なく、市場経済化になじまない取り組みであるため、非営利組織である社協だからこそ取り組める代表的な事業です。

 また、生活困窮者自立支援事業や障害者相談支援、ファミリーサポートセンターといった専門性を活かし安定的に継続していかなければならない市事業の受託や、社会福祉士・精神保健福祉士という国家資格を持つソーシャルワーカーを市の福祉関係課に人材派遣(令和2年度現在4名)している活動等は、本会の持つ地域福祉に関する情報の質量、職員の専門性、社会資源の連携及び確保等といった数々の機能を評価して頂き、公益を担保するための重要事業として担当させて頂いてます。

 茨城県内を見渡しても職員数や行政助成金額が平均以下と少なく、介護保険制度や障害者総合支援制度による直接サービス提供をしない(市内事業者不足のため障害者相談支援事業所のみ実施)ことで組織の中立性を担保し、全ての正規職員の国家資格取得化(正規職員の89%以上)を進め、それによって成年後見センターやボランティアセンターを含む福祉総合相談を活動の柱としつつ、行政への人材派遣を実現している社協は神栖市社協以外にありません。データが示す神栖市社協は明らかに県内のどの社協とも一線を画す組織体となっています。

 市町村社協のスタイルは、市町村のそれぞれの事情の違いにより大きく変化するためどのカタチが正解というものではありません。重要なことは、「その取り組みは社会福祉協議会が担うにふさわしい」という市町村内における妥当性と有効性の共有だと思います。
 これから、この分析データを1つの指標として多くの方々から客観的な評価を頂き、本会の実践に共感を得られるよう「第5次地域福祉活動計画」に沿った取り組みに職員一丸となって邁進していきたいと思います。

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