★社協職員レポート
【法人後見受任事業(成年後見活動)がスタートしました】

 今年4月からスタートした福祉後見サポートセンターかみすでは、知的障害、精神障害、認知症などの理由で判断能力が不十分な方々が身の回りのことや財産の管理などでお困りの場合、住み慣れた地域で安心して生活を送ることができるように日常生活自立支援事業と神栖市社協が成年後見人等となり活動を行う法人後見受任事業を実施しています。
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 成年後見制度は、物事を判断する能力が十分でない方の権利を守る援助者となる成年後見人等を選ぶことで、その方を法律的に支援する制度です
 その大きな役割のひとつとして、福祉サービスの利用のほとんどが契約に基づく形態となった今日にあって、そういった方々が福祉サービスを必要とした時にあたりまえに利用できるように支援するといったことがあります。
 成年後見人等は、親族以外にも弁護士、司法書士、社会福祉士といった専門職の第三者や社会福祉法人や社団法人、NPOなどの法人が裁判所から選ばれる場合があります。
 法人が成年後見人等となり活動を行うのが法人後見です。後見報酬を支払うことが難しい資力の少ない方々への生活・医療・介護などに関する契約や手続きを行う「身上監護」を中心とした後見活動の担い手として、法人後見への期待が寄せられています。
 今回のレポートでは、神栖市社協(以下社協といいます)の法人後見受任から活動開始するまでを事例を通じてご紹介します。 
〜緊急入院となった認知症高齢者の成年後見人に社協が選任され事例です〜

 ●本人の状況:認知症高齢者Aさん
 ●申立人:神栖市
 ●成年後見人:神栖市社会福祉協議会

 『経緯』
 親族やご近所の方の気づかいがある地域でお一人暮らしをするAさんでしたが、ある日訪問した民生委員さんによって衰弱しているところを発見され、緊急入院となりました。
 Aさんが今後在宅で一人暮らしするのは難しく、施設入所を検討する必要がでてきました。これまで金銭管理や生活支援を行ってきた親族も高齢となり、今以上の支援は困難であるため、親族と民生委員さんは地域包括支援センターに相談しました。

 『申立て』
 そこで勧められたのが、成年後見制度でした。介護サービス利用のための契約手続きや利用料の支払いを本人に代わって成年後見人に援助してもらう法的制度の活用です。
 Aさんは子どももなく年金生活で大きな財産はありません。親族は地域包括支援センター(地域包括支援課)に、市長申立※による成年後見利用支援を申し出ました。

 『成年後見人候補者の相談』
 程なく地域包括支援課から社協(福祉後見サポートセンターかみす)にAさんの後見人候補者となってもらいたいという相談が入りました。社協では地域包括支援課と連携し、Aさんが福祉的見地から成年後見制度の活用が必要な状況だと把握し、内部審査で成年後見人候補者となる決定をしました。

 『審判』
 その後家庭裁判所からAさんの成年後見人として社協が選任されました。

 『後見活動開始』
 病院でAさんと面会し、担当医や看護師から症状の説明を受け、入院費の支払いなど生活費の管理をする成年後見人としての活動がスタートしました。Aさんの意向をうかがいながら、親族や病院、福祉施設、支援機関と相談し、Aさんにとってふさわしい福祉施設の申し込みを行いました。
 病院で療養治療をしていたAさんの施設入所が決まりました。入所にあたっての契約や準備手続きをしました。施設での生活に衣類や身の回りの細かな品々が必要です。その際にお願いしたのがういるかみす(住民参加型たすけあいサービス)です。「後見人の業務は、介護や家事援助といった労働は含まれません」
 Aさんと会話をしながら体のサイズや好みを一通りは確認したういるかみす協力会員さんは、不足の下着からタオル、歯ブラシなど30点以上の品々を地域最安値?で買い揃えてくれました。
 現在Aさんは特別養護老人ホームで落ち着いた生活をされています。入所後も成年後見人として社協職員が月に1、2回はAさんと面談し、施設利用料の支払い、ケアプランの確認・同意などの後見業務を行います。


 『後見活動を通じて』
 後見活動がスタートして担当者として感じていることは組織として行う法人後見の強みです。
成年後見人がすべての課題を解決できる訳ではありません。Aさんの安心した暮らしを支えているのは、親族や民生委員さん、医療機関、地域包括支援センター(行政)、福祉施設それぞれの役割が切れ間なくつながっていることだと実感しています。
社協が各事業を通じて培ってきた地域の支援者や関係機関との関係性は、後見活動の連携においても非常に有益です。後見業務を複数の職員で担当することで、急変時などの活動も途切れることなく対応できることも利点です。
 連日テレビ等で東京オリンピックに向けた報道がされていますが、私個人としては、この夏のリオオリンピックでの日本勢の団体競技での活躍がいまでも強く印象に残っています。チームで挑むことで個々の力以上の成果が発揮できたと言った選手のコメントやプレーに感銘を受けました。
 法人後見は競技ではありませんが、日本勢チームの躍進と同様に組織で取り組むことの力強さを感じています。スタートしたばかりの福祉後見サポートセンターかみすですが、ノーマライゼーション「障害の有無に関わらず誰もが地域で安心して暮らすこと」の理念のもと、身近なところに安心を支えるしくみが増えて良かったと一人でも多くの方に感じて頂けるよう、地域の権利擁護センターとしてチーム“力”で取り組みます。

(注)※市長申立とは、成年後見制度を利用したくても、申し立てることのできる配偶者や四親等内の親族がおらず、申し立てることが出来ない場合、市長が代わりに家庭裁判所へ申し立てることが出来ます。

<本所地域福祉推進センター A>
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