★社協職員レポート 〜介護機器貸出事業〜

 社会福祉協議会には、日々様々な相談が入ります。今回の職員レポートでは、私が対応した介護機器貸出事業で関わった事例を紹介させていただきます。

 その相談は一本の電話から始まりました。
 「病気の父を自宅で介護をしたいので介護用のベッドを借りたい。」
 お話しを伺うと、自宅療養中の父親の為に介護用ベッドを借りたいと役所に問合せ、社協を紹介されたとのことでした。他にもお困りのことを確認すると、家族で運転免許を持っている者がいないため本人を病院まで通院させるのに苦労するとのことから福祉タクシー事業の利用が考えられ、ベッドの貸出申請書の記入と併せ福祉制度の説明に自宅訪問しました。その際、介護保険利用対象者などが利用できる福祉タクシー事業の希望があり、そのまま介護保険制度申請に繋がりました。
介護用ベッド
 翌日、介護用ベッドをお届けしました。今回は介護保険の申請がされていなかったため、介護保険でベッドレンタルが利用できるまでの繋ぎとして対応しました。
 ご家族は、初めの相談時と異なり、笑顔を見せ、声も心なしか元気になっていました。ベッドの設置が終わり、操作説明をしてご自宅を後にしました。


 その電話は突然でした。
 ベッドを貸し出した翌週、娘さんより電話がありました。私は貸し出したベッドに不具合が発生したのかと思い、急いで電話を代わりました。すると娘さんより「父が昨日亡くなったので...。」と。私は電話口で一瞬言葉を失い無言になってしまいました。娘さんは続けて「父もベッドを借りられ身体が楽だと喜んでおりました。今は、これからのことでバタついているのでベッドの返却は少し落ちついてからでいいですか?」と。私は「はい。大丈夫です。」と答えました。
 一週間後に、ベッド回収の依頼が事務所に入り、ご自宅に訪問しました。部屋は綺麗に片付けられており、2週間前に貸し出したベッドがそこにありました。ベッドを運びだすために、分解作業をしながらお話しを伺うと。お父さんは、ベッドを3日ほど利用し、体調を崩してしまい入院。そのまま自宅へ帰ることができなくなってしまったとのことでありました。
 元々、重篤な疾患にかかっていましたが、体調が急変してしまったそうです。

考える人  一通りベッドを分解し、搬出が終わり、改めて挨拶をした際に、娘さんより「ありがとうございました。短い時間しかベッドを利用できませんでしたが、父も喜んでおりました。」と目に涙を浮かべながらお礼の言葉を頂きました。
 私は帰りの車中、今回の支援でご家族、ご本人に寄り添うことが出来たのか、一時でも笑顔を取り戻すことが出来る一助になれたのか、あの娘さんの「ありがとう」はこれからずっと忘れないだろう、などと考えながら事務所に戻りました。

 本会の介護機器貸出事業は、公の法制度で必要な介護機器を利用できない方を対象に車いすや松葉杖、介護用ベッドなどを短期間貸し出しています。また、この事業の運営は市民の皆様からの社協会費を活用させていただいております。  介護機器の貸し出しを希望される方がございましたらご相談下さい。


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