★社協職員レポート
もうすぐ・・・

 オッちゃん、元気にしてる?オッちゃんと暮らし始めて丸3年、なかなか終わらない暑さが少しだれけおさまってきた頃、オッちゃんの調子が悪くなりかけていたこと、僕、知っていたよ。
 黙っていたかと思えば、独り言を言ったり、急に怒り出したり、そわそわ歩きはじめたり。でも、目で追う僕と目が合うといつも頭をなでてくれて、両手で体をぐりぐりもんでくれて・・・僕はとても嬉しかった。
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 突然オッちゃんが帰ってこなくなってから3ヶ月、いろんなことがあったんだ。
 時々オッちゃんを尋ねてきてくれていたお兄さんが、二日に一度は僕にご飯とお水を届けてくれるようになった。外で紐に繋がれ、お風呂にも入ったことのない僕は体中がかゆくて仕方なかったけど、寂しくて嬉しくてお兄さんの足に抱きついたりしたんだ。そしたらね、抱きついたお兄さんが来なくなっちゃって、また別のお兄さんが、まだ外は暑いのに長ソデ・長ズボン・手ブクロに長グツっていう変な格好で、僕から離れて、僕にさわらないようにして、ご飯とお水を持ってきてくれるようになった。
 格好は変だったけど、台風で飛ばされそうな日も大雨で流されそうな日も来てくれた。オッちゃんに会えなくて寂しかったけどお兄さんたちのおかげでなんとか平気でいられたんだ。

 こんな暮らしが2ヶ月くらい過ぎた頃、いつものお兄さんと二人のお姉さんが来てくれた。僕は不安でどうしていいかわからなかったけど、お兄さんやお姉さんたちが優しく声を掛けてくれたから、しぶしぶ後をついて行ったんだ。そしたらね。着いた建物にオッちゃんのにおいがあったんだよ。
 看板には「福祉センター」って書いてあった。

 僕は建物の外側につながれてね、お姉さんたちはエプロンに腕まくり、おまけに水を掛けられたからびっくりして、興奮しちゃって・・お姉さん二人の手を思いっきり「ガブッ」「ガブッ」ってやっちゃった。
 お姉さんたちは「ぎゃーっ」って声を上げたけど、それでも優しく声を掛けてくれながら僕に白いあわあわを付けて洗ってくれたんだ。
 その後、「ボワーッ」って音のする温かい風を体中にかけられて、とっても体が軽くなったのを覚えているよ。そのあと車に乗って、はじめてのお家で白い服を着たお姉さんに目や歯を「じぃーっ」って見られたんだ。それでね次におなかを触られておしりに「チクン」って何かを刺されて、やっと長い長い一日が終わったんだ。

 それから何日か過ぎて、また別の人たちが来たんだよ。その人たちは僕の前で「カシャッ」「カシャッ」って音の出る小さな光る箱を動かしてた。この頃は本当に毎日がビックリの連続だった。そしてまた何日か過ぎて、僕はオッちゃんと遊んだ家を離れ、仲間たちの居る別のおばさんの家で暮らすことになったんだ。
 オッちゃんとこんなに長く離ればなれになったのは初めてだったし、とても寂しかったけれど、あの頃の調子の悪かったことが関係していることは、僕にもなんとなくわかっていたんだ。・・・
 オッちゃん!・・・大丈夫?

 今のおばさんはとても優しくていつも僕の体をなでてくれるんだ。長く伸びっぱなしだった毛もきれいに切ってくれて一段と体も気持ちも軽くなったんだよ。
 そして、太陽は輝いていたけどとても肌寒かった冬の日、僕は仲間たちと一緒に車に乗って、たくさんの人が居るところに行ったんだ。僕は自分のサークルの中でおとなしくしていたけど、周りには小さな子どもやおじさんやお姉さんたちが仲間たちを触ったり、だっこしたり「カワイイー」って声を上げていた。

 そしたらね、メガネをかけたとても優しそうなおばさんと、その後ろを歩いてきたおじさんがサークルの前でずぅーっと僕を見ていたんだ。ここへ連れてきてくれたおばさんと、メガネのおばさんが楽しそうに話している。ニコニコしながら話しを終えたあと、僕はメガネのおばさんに抱っこされた。
 そしてあの小さい箱がまた僕の前て「ピカッ」って光ったんだ。ちょっぴり怖かったけど、メガネのおばさんはとても抱っこが上手で、すっごく安心できた。

 オッちゃん。僕は今、このメガネのおばさんとおじさんと約一ヶ月間という期限の決まった暮らしの最中なんだ。これはホントの家族になれるかどうかのテストみたいなもので「トライアル」っていうんだ。僕はもうおばさんとおじさんが大好きなんだけど、この一ヶ月の生活でおばさんとおじさんが僕を好きになってくれて、僕を家族として受け入れてくれる決心をしてくれたら、ひょっとしたらメガネのおばさんとおじさんは僕の新しいお母さんとお父さんになってくれるかもしれないんだ。
 すごいでしょう!オッちゃん!

 だからもう心配しなくても大丈夫。安心して早く体を治してね。オッちゃんが帰ってこれなくなってから、僕のことを、いろんな人たちが本当にたくさんの人たちが心配してくれて、大事にしてくれてたんだ。オッちゃんとの暮らしがあったから、お兄さん、おねえさんや今のおばさん、おじさんに出会うことができたんだ。オッちゃんホントにありがとう。僕は新しい幸せをきっとつかまえるよ。
 オッちゃん!お元気で・・・


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困っている人が大切にしている「もの・こと」を大切にすることこそ、
ソーシャルワーカーの価値であると実感させられたこの冬の出来事でした。
「ロッキー!」
本当に良かったね。君の幸せはすぐそこまで来ているよ。
そして沢山のことを教えてくれてありがとう。

本所地域福祉推進センター K

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